40年かけ「動物福祉」を実践 円山動物園の「偉人」の原点とは

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毎日新聞 2025/9/21 08:45(最終更新 9/21 08:45) 有料記事 2530文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷円山動物園の動物専門職員・吉田淳一さんと、吉田さんが20年以上、飼育を担当しているオランウータンの「弟路郎(ていじろう)」=札幌市中央区の円山動物園で2025年8月29日午後3時17分、和田幸栞撮影 札幌市円山動物園に類人猿の担当を務めて30年以上になる動物専門職員がいる。職歴は40年。後輩から「偉人」と慕われる吉田淳一さん(63)は動物とどう出会い、どう向き合ってきたのか。話を聞きに行った。◇心身ともに快適な環境を 8月末の円山動物園。小雨に降られながらも、園内は家族連れや外国人観光客などでにぎわっていた。 オランウータン3頭が暮らす展示場で、28歳のオス弟路郎(ていじろう)が待っていたのは吉田さん。動物が心身ともに快適な環境をつくる「動物福祉」に取り組み、園の整備に尽力してきた。 吉田さんが現れると、弟路朗は駆け寄り、ガラス越しに隣へ座り込んで吉田さんの目を見つめる。「雨が嫌だから、早く寝室に入れて欲しいんだな」。長年の付き合いから行動パターンを把握しているそうだ。 動物との向き合い方の原点は小学生時代にさかのぼる。 札幌出身で、幼い時から動物が好きだった吉田さん。小学生のころは「放課後、年に100日以上は動物たちを見ていた」という。特にひかれたのが、まだ子どもだったオスのゴリラ「ゴン」だった。 ゴンはアフリカで生まれ、1974年から2004年まで円山動物園にいた。 ゴンは、後に配偶者となるメス「メリー」と一緒に類人猿の展示場にいた。ガラス張りの小さな一室で「狭い狭い」と訴えるように暴れていたのを覚えている。「もっと良い生活をさせてあげたい」。飼育員を志す原点になった。 吉田さんは1980~82年に道の職員として畜産行政に携わったが、「動物と関わる仕事がしたい」という思いを忘れられず、円山動物園の門をたたく。82年から3年半の非正規雇用を経て、85年に23歳で札幌市の職員として正式に赴任し、翌年から本格的に飼育に携わった。 ゴリラ担当になったのは、それから3年半後。上司から指名された。「まさか自分が担当になるとは」。子ども時代に愛着を感じていたゴンだが、右も左も分からなかった。顔にフンを投げつけられることも日常茶飯事だった。 「完全になめられていた」と言う吉田さん。展示場を掃除しようとゴンを寝室に入るよう促しても、動かない。その場を離れようとすると、「ヒュン」と素早く寝室に入る。寝室の鍵を閉めようとすると、寝室から飛び出す。 「俺への嫌がらせなんだ」。悩んだが、飼育を続けるうちに付き合い方が分かってきた。「信頼関係」を大事にした。 どの動物よりも先に「おはよう」とあいさつする。命令せず「お願い」する。例えば、寝室に入ってほしいなら、「入っていただけませんか」という気持ちで接した。吉田さんは「相手を敬うようにして、信頼関係ができた」と振り返る。 転機は96年。メリーが死に、悲しみに暮れたゴンの鳴き声が展示場に響いた。食事もとらなくなった。 悲しみから気を紛らわせるように、吉田さんは「食事を遊びにしよう」と思いついた。丸太を設置し、小さな穴をたくさん開ける。餌を直接与えず、穴に詰め込んでおくと、食べるために試行錯誤するようになった。ゴンは楽しげに餌を食べるようになった。 動物園の環境は、動物にとって「暇」。…この記事は有料記事です。残り1250文字(全文2530文字)あわせて読みたいAdvertisement現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>