空の上の姉へ「見守っとってね」 豪雨から1年、ラジオから伝えた

Wait 5 sec.

有料記事上田真由美2025年9月22日 8時00分まちのラジオは更地にぽつんと立つコンテナのスタジオから放送されている=2025年9月21日午後0時54分、石川県輪島市町野町、内海日和撮影 能登半島地震の被災地を襲った豪雨から1年となった21日、甚大な被害があった石川県輪島市町野町の更地に立つ小さなコンテナを、多くの報道陣が取り囲んでいた。 地元住民が運営する臨時災害放送局(災害FM)「まちのラジオ」は、本来なら生放送のない日曜のこの日、プレハブのスタジオから特別番組を生放送した。テーマは「奥能登豪雨から一年、そしてスタート」。 保育士、住職、区長会長……地域の人たち4人をゲストとしてスタジオに招き、パーソナリティーたちも自身の経験を織り交ぜながら、あの日の体験や教訓、これからどんなまちにしたいかを伝えた。 パーソナリティーの1人としてヘッドホンをつけてスタジオに座る中山真(しん)さん(29)の顔は、いつになく緊張して見えた。1年前のあの日、職場から帰宅途中だった姉の美紀さん(当時31)が行方不明になり、約1カ月後に亡くなって見つかった。1年前の豪雨災害で亡くなった姉に向けた手紙を読み終えたパーソナリティーの中山真さん(中央奥)=2025年9月21日午後2時44分、石川県輪島市町野町、内海日和撮影 豪雨から1年の日にラジオで特別番組を放送したい――。中山さんの希望をかなえようと仲間たちが動いてくれ、実現にこぎ着けた。この番組内で読み上げようと、姉への手紙を書いて持ってきていた。 正午に始まった生放送は次々と招いた身近なゲストたちとの会話が弾み、予定の2時間を過ぎても続いた。開始から3時間が近づいた最終盤、この日の進行役を務めた山下祐介さん(39)が「真君にとって昨年9月21日は」と話を振った。 中山さんは「あまりにも衝撃的な日でした」と答え、山下さんとの会話を通して、姉を失った経験を伝えていった。 あの日の朝6時ごろ、一緒に暮らす仮設住宅から出かけていった姉の「いってきます」が、最後に聞く言葉になってしまったこと。 中山さん自身、豪雨で隣町の…この記事を書いた人上田真由美金沢総局|能登駐在専門・関心分野民主主義、人口減少、日記など市井の記録を残す営み能登半島地震2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。地震をめぐる最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ9月22日 (月)能登豪雨から1年、復旧道半ば銃撃の背景に「宗教的な虐待」Perfumeが今年末で活動休止9月21日 (日)USスチール工場停止 米が阻止藤井選手 女子20キロ競歩で銅JRネット予約 全国で連携へ9月20日 (土)ETF売却、日銀が決定日本郵便の非公表、昨年把握今年も日本にイグ・ノーベル賞9月19日 (金)日経平均終値 初の4.5万円超「国勢調査」相次ぐ不審メール増える観光客 迷惑行為に罰金トップニューストップページへパレスチナの国家承認 「国際法上の国家」になるとは 撤回の場合も7:00メダル逃した男子リレー、日本の武器に誤算 桐生は「僕の責任です」0:23都市部で突然の大雨、地下に潜って雨宿り「決してやってはいけない」6:00出回る「おもちゃ」の銃、36人摘発 多くが未回収、ネットで転売も7:00東京都職員の秋採用、33.3倍の高倍率に 予想を超えても残る課題6:30空の上の姉へ「見守っとってね」 豪雨から1年、ラジオから伝えた8:00