キャンパる:「チームに貢献したい」 箱根駅伝注目校・中央学院大の長部選手

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「今後はチームを走りで引っ張っていく存在になりたい」と意気込む長部選手。取材中、「チーム」という言葉をよく使うのが印象的だった=千葉県我孫子市の中央学院大駅伝部寮で、立教大・宇野美咲撮影 1月2、3日に行われる東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。学生が作る毎日新聞「キャンパる」紙面では毎年、注目校を1校選び、深掘り取材してきた。今大会では、10月の予選会をトップ通過した中央学院大学に注目。主要メンバー4人の大会にかける熱い思いに迫った。3人目は、長部虎太郎(おさべ・こたろう)選手(2年)だ。【早稲田大・竹中百花(キャンパる編集部)】雰囲気にのまれた前回大会 埼玉県出身の長部選手は中学から本格的に陸上競技を始めた。当初は走り幅跳びをしていたが、長距離種目へ転向した後に記録が伸び始め、現在につながっているという。Advertisement 前回大会では、1年生で唯一の出場選手として復路の9区を任された。9区は往路の2区を逆に走る区間で、復路のエースが配されるとされており、総合成績をかけた激しい競争が繰り広げられることが多い注目区間でもある。そのため、大学での競技経験が少ない1年生の選出は中央学院大ではめったになく、名前を呼ばれた時は「うれしさを感じるとともに、大きなプレッシャーにも悩まされた」そうだ。 長部選手はリズム良く軽快な走りが持ち味で、単独走が得意なのだという。そのため、ペースをつかむことがカギとなる9区を任されたそうだ。ただ、本番のレースでは区間17位の成績に沈み、たすきを渡された時点で14位だった総合順位を引き上げることはできなかった。 長部選手は当時を振り返り「初めての大きな舞台で、思っていた走りができなかった。周りの雰囲気にひるんでしまった」と悔しさを語る。しかし、今年は雪辱を期して昨年以上の練習を積んでいるそうで、9区への再挑戦に強い意欲を示した。主力メンバーとは別のチームで練習する長部選手(中央)。「予選会の後に足を痛めていて、焦りはあるが、逆にプラスに捉えている」と話す=千葉県我孫子市の中央学院大学グラウンドで、立教大・宇野美咲撮影つらい時も「いつも通り」 長部選手は駅伝部の公式YouTubeなどのインタビューで「チームに貢献したい」と話す場面が何度か見られる。その背景には、普段からチームのメンバーにさまざまな面で支えられていることがあるという。「自分だけ別で練習メニューがあったり、監督や仲間が自分のことを理解してくれて自由にやれていたりすることが多い。だから少しでも恩返しができるように、走りでチームに貢献したいと思っている」と語った。 長部選手の好きな言葉は「いつも通り」だという。中高時代から大会前には両親に「いつも通りやりなさい。変なことをしなければ大丈夫」と言われてきたそうで、いつの間にかその言葉が頭に浮かぶようになったのだという。結果がうまく出ず、つらい時はご両親に支えられた場面も多く、「走っている時も両親のことを考えることがある」と話してくれた。予選会1位にも満足せず そんな長部選手は、10月の箱根駅伝予選会で自己新記録を更新した。チームとしても1位という結果が出ており、長部選手の貢献も大きい。結果を知った時は「まさかうちのチームが」と驚いたという。主力メンバーとともに写真に納まる長部選手(右端)=千葉県我孫子市の中央学院大駅伝部寮で、立教大・宇野美咲撮影 しかし、その好結果に満足はしていない。自身でも「負けず嫌いなところがある」と話しており、箱根駅伝に向けても「前回走った時のタイム以下は出さないようにする。今までできたことはしっかりできるように」と意気込みを語ってくれた。もし、再度9区を任された場合の目標は、区間6位以内だという。 長部選手が考える、チームを表す漢字は「楽」だ。「うちのチームは上下関係があまり厳しくなく、みんな仲がいい。居心地がよくて楽しい。そんなチームだからこそ、自分は走ることを続けられていると思う」と話してくれた。 休日は寮の仲間たちと出かけたり、一緒にゲームをしたりするのだという。そんな仲間たちとの思い出を楽しそうに話す長部選手を見ると「チームに貢献したい」という言葉に込められた思いが少し分かるような気がした。