まるで地下文書だった「ケアの倫理」 キャロル・ギリガンさんの挑戦

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毎日新聞 2025/12/20 08:00(最終更新 12/20 08:00) 有料記事 2605文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷1980年代に「ケアの倫理」を提唱した米国の心理学者キャロル・ギリガンさん。京都賞を受賞し、インタビューに応じた=京都市中京区で2025年11月12日、前田梨里子撮影 妻が病で死にひんしている。 薬剤師が開発した新薬を使えば助かるかもしれないが、高額で買えない。薬を盗むべきか――。 男の子は「命のほうが大切だから盗む」と即答した。 対して女の子は「薬剤師を説得できないか」「友達からお金を借りられないか」となかなか答えが出せない。 1980年代、米国の心理学者、キャロル・ギリガンさん(89)が見いだした「ケアの倫理」は、この女の子のように人と人とのつながりを重視する態度や判断を指す。 ケアの倫理の“発見”はフェミニズムの画期となり、哲学や政治学などさまざまな分野に影響を与え続けている。 「誰一人、自分の声を失うことはない」 今秋来日し、インタビューに応じたギリガンさんの言葉とともに「ケアの倫理」とは何か、解きほぐしたい。キャロル・ギリガンさんへのインタビューは2回に分けて配信します。前編 まるで地下文書後編 トランプ政権への憂い=21日8時に配信予定小さな本が起こした二つの「革命」 今年、ギリガンさんは長年の功績がたたえられ、科学や思想・芸術分野の発展に寄与した人を顕彰する京都賞(稲盛財団)を受賞した。 「今回の受賞は、社会規範と価値観が大きく変化したことへの称賛です」 11月10日、国立京都国際会館(京都市)で開かれた授賞式に参加し、こうスピーチした。 「心理学が男性だけを研究対象とし、まるですべての人間を表しているかのように振る舞っていた時代から、年齢を問わず女性が排除されるなど考えられない時代に変化したことへの称賛なのです」 ギリガンさんがケアの倫理を提唱したのは、82年刊行の『もうひとつの声で』だった。「出版社は『この小さな本が大きな革命を起こした』と紹介してくれました」と振り返る。 革命は二つある。 「一つは道徳についての語りを変えた点。もう一つは、人口の半分である女性を心理学が無視してきたことを明らかにした点です」 一つめは、既存の道徳観が見落としていた「人間の相互依存的な関係性」に光を当てたことを指す。 冒頭の問いに戻ろう。 ギリガンさんはこの本で、男の子のように「正しさ」を即断する声を「正義の倫理」、女の子のように個々の文脈に即して相手のニーズを敏感に受けとめる声を「ケアの倫理」と名付けた。 自身の師であるローレンス・コールバーグらが男性を被験者としてつくりあげた道徳の発達理論では、前者の自律した自己による論理的な判断が「成熟」とみなされる一方、後者の要領を得ない態度は「未発達」とされる。 だが、彼女たちは…この記事は有料記事です。残り1558文字(全文2605文字)あわせて読みたいAdvertisementこの記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>