棚部秀行松原由佳毎日新聞 2025/12/17 06:01(最終更新 12/17 06:01) 有料記事 3715文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷批評家の大澤聡さん(左)と米文学者の都甲幸治さん=東京都千代田区で2025年12月10日、小林努撮影毎日・朝日「文芸時評対決」後編 毎日新聞の文芸時評を担当する批評家の大澤聡さんと、朝日新聞の文芸時評を担当する翻訳家(米文学)の都甲幸治さんが、2025年の文芸の成果について語り合う両紙のコラボレーション企画。 昨年12月から今年11月までに刊行された小説が対象。後編は小川洋子さん、古川真人さん、柴崎友香さん、島口大樹さん、多和田葉子さんの作品を紹介する。【構成・棚部秀行、松原由佳、写真・小林努】 <関連記事> 前編 大澤聡さんと都甲幸治さんが語り尽くす 2025年の文芸回顧 大澤聡さんの5選・鳥山まこと『時の家』(講談社)・島口大樹『ソロ・エコー』(講談社)・中西智佐乃『橘の家』(新潮社)・朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(日本経済新聞出版)・古川真人『港たち』(集英社)都甲幸治さんの5選・市川沙央『女の子の背骨』(文芸春秋)・リチャード・フラナガン著、渡辺佐智江訳『第七問』(白水社)・柴崎友香『帰れない探偵』(講談社)・小川洋子『サイレントシンガー』(文芸春秋)・多和田葉子『研修生(プラクティカンティン)』(中央公論新社)優しさの向こうに怖さ 小川作品 都甲幸治 小川洋子さんの『サイレントシンガー』は、極めて内気な人たちの共同体、コミューンのような設定が面白い。事実上、話すことが禁じられていて、いくつかサインがあるだけというコミュニケーションの仕方が綿密に書かれています。 その中で主人公の女性リリカの歌声だけが響く。その歌もうまくなくて、邪魔しないような声で歌うのがいい。刺激低めの中で変化やふれあいを味わうためのトレーニング施設みたいな小説です。朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』と対極だと思う。 大澤聡 懲罰や義務ではない形で沈黙が実現されていますね。 都甲 角の絡み合った羊がそのまま死んでいきます。犠牲の羊がコミューンのネガティブな部分を象徴しています。優しさの向こうに本当の怖さがあると思いながら読みました。 大澤 コミューンには男性しかいません。リリカは下界との境界に立つ存在です。今年谷崎潤一郎賞を取った木村紅美さんの『熊はどこにいるの』は女たちのコミューンの話で、男児が境界を往復する物語でしたが、ちょうどそれを反転した構図です。男のコミューンの話は考えてみれば珍しい。 都甲 社会による男らしさの強要から逃げてきたんでしょうね…この記事は有料記事です。残り2725文字(全文3715文字)あわせて読みたいAdvertisementこの記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>