有料記事藤原伸雄2025年12月28日 12時00分岩本菜々さんのコメント 12月23日の夜。東京・池袋のビルの一室に10人ほどの若者たちが集まった。 テーブルには鶏肉の蒸し焼き、切り干し大根とモヤシのサラダが並ぶ。若者たちは黙々と夕食を平らげると、ゲームをしたり、漫画を読んだりして時間を過ごした。NPO法人「サンカクシャ」が運営する交流拠点「サンカクキチ」で振る舞われた夕飯=2025年12月、東京都豊島区、藤原伸雄撮影 ここは、居場所がない若者たちを支援する交流拠点「サンカクキチ」。虐待や多重債務、自傷行為、うつ病などの問題を抱える若者たちが集まる。15~25歳の若者向けに居住支援や食料支援などを行うNPO法人「サンカクシャ」が運営する。 「安全で、屋根とメシがある。それだけで十分です」。格闘系のゲームに熱中していた関東出身の20代男性はかみ締めるように話した。NPO法人「サンカクシャ」が運営する交流拠点「サンカクキチ」でゲームをする20代男性=2025年12月、東京都豊島区、藤原伸雄撮影 月額約7万5千円の生活保護費で暮らす。物価高の影響でコンビニをなるべく避け、ディスカウントショップで100円前後のカップ麺を買い込む。「1日1食で過ごすことも全然ある」。今の全財産は105円。寝ることで空腹を紛らわせることもあるという。NPO法人「サンカクシャ」の支援を受けながら自立を目指す20代男性の全財産は105円だった=2025年12月、東京都内、藤原伸雄撮影 幼少期に親から虐待を受け、今もトラウマを抱える。働くことを条件に、通信制の高校に進学。工場に勤務したが、「仕事を教えてもらえない」「自分だけ何もさせてもらえない」などと精神的に追い込まれていった。家にも職場にも居場所はなかった。 18歳の冬、家出を決意した…この記事を書いた人藤原伸雄映像報道部専門・関心分野国際情勢、貧困問題