毎日新聞 2025/12/26 09:04(最終更新 12/26 09:04) 2701文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷立教大准教授 森朋子さん <リジェネラティブな世界を目指して MOTTAINAI20YEARS> 第2部のパネルディスカッションは、前後半でテーマと登壇者を分け、毎日新聞の永山悦子論説副委員長が進行役となった。 前半のテーマは「地球を守る第一歩としての『MOTTAINAI』」。コンビニエンスストア大手ローソン常務執行役員の楯美和子さん、アルミニウム総合メーカーUACJ取締役常務執行役員の慈道文治さん、立教大の森朋子准教授が登壇した。Advertisement 森准教授は、気候変動や生態系の崩壊など環境問題が経済界では経営上のリスクと捉えられていることを紹介。企業の社会貢献活動はこれまで企業の社会的責任(CSR)として利益と分けて行われてきたが、近年は「自分たちの経済活動を通して社会貢献につながる価値を創造するという、共通価値の創造(CSV)と呼ばれる考えが出てきた」と現状を語った。ローソン常務執行役員 楯美和子さん そのCSVを視野に入れた取り組みとして、ローソンは「食品ロス削減」を重要課題に掲げる。品ぞろえや発注数に加え、売れ残りを防ぐためにどの商品を何円値引きするかを推奨する、人工知能(AI)を使ったシステムを全店舗に導入。値引きシールを貼ったおにぎりを購入すると、福祉施設への寄付につながるキャンペーンも実施した。 楯さんは「『MOTTAINAI』との意識から値引き品を購入して食品ロスを減らせば、寄付を通じて自分も(寄付先の)誰かもハッピーになる。小売業の強みはお客さまと一緒に取り組むことができること。言い換えれば、お客さまの協力がないと活動が成り立たない」と力を込めた。 UACJはアルミニウムのリサイクル推進によるサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現を提唱する。慈道さんは「アルミニウムは軽くて強く、再生しやすい金属」と説明。「アルミ缶のリサイクル率は、みなさんの分別回収のおかげで99・8%。それを再びアルミ缶に戻す率は75%前後で推移しており、その比率をもっと上げていきたい」と述べた。UACJ取締役常務執行役員 慈道文治さん レトルト食品の包装や自動車の部品などアルミ材使用の製品は多岐にわたっており、「もっと社会の役に立つアルミの製品を作り、資源の節約や環境保護に貢献したい」と意欲を示した。 森准教授は「私たち消費者側も、廃棄の時だけ環境について考えるのではなく、生産時や物流の際も環境に配慮された商品なのかどうか、意識して選択することが大切だと改めて感じた」と話した。一番の敵は「どうせ……」 パネルディスカッションの後半は「『リジェネラティブ』な世界を目指す上で必要なこと」をテーマに、キリンホールディングス常務執行役員の藤川宏さんと国連広報センター所長の根本かおるさん、立教大の大久保奈弥教授が語り合った。大久保奈弥さん 立教大教授 大久保教授は「リジェネラティブ」について、「環境負荷を低減し状態を持続させるサステナブルから一歩進み、環境の再生が継続的に起こる状態」と解説。資源を効率的に利用する「MOTTAINAI」はリジェネラティブと切っても切れない関係だと説明し、「リジェネラティブを実践するためには科学的な知見と、それら知見を得た環境リーダーの育成が大切だ」と学問的基盤の重要性を訴えた。 さらに、安定した資金が必要であることも指摘し、「企業は商品やサービスが売れなければリジェネラティブな状態を作るための資金を得られない。私たち消費者にできるのは、環境配慮に優れた企業の商品を購入するなどして応援すること」と語った。藤川宏さん キリンホールディングス常務執行役員 藤川さんは、規格外などの理由で本来なら捨てられてしまう原材料を活用して作られた飲料「キリン氷結mottainai」シリーズが若い世代から評価されていることに触れ、「社会的課題を解決しながら経済的価値を生み出すことができている」と述べた。 同社の飲料「午後の紅茶」に使用する紅茶葉の輸入先であるスリランカで、環境再生型の農業を支援するなどの活動を行っていることを紹介し、「『リジェネラティブ』は環境だけでなく社会や経済の再生、そして人とコミュニティーのウェルビーイング(心身の幸福や健康)向上にもつながるのではないか」と語った。根本かおるさん 国連広報センター所長 根本さんは2004年にワンガリ・マータイさん、07年には国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)とゴア元米副大統領がノーベル平和賞を受賞したことを挙げ、「環境に関係する方々がノーベル平和賞を受賞している。世界の平和の礎に地球環境があるという考えがあってのこと」と話した。 世界各地で一国主義の風潮が強まる一方、気候変動は安全保障上の脅威として国連安全保障理事会の議題になっていると説明し、「一番の敵は『どうせ』という言葉。一人一人の持っている力が束になれば、社会の仕組みさえ変えられるかもしれない。自分が持つ力に目を向けてほしい」と呼び掛けた。マータイさん来日が契機 MOTTAINAIキャンペーンは、毎日新聞社がノーベル平和賞を受賞したばかりのワンガリ・マータイさんを日本に招いたことをきっかけに始まった。 来日直後のインタビューで「もったいない」という言葉に出合ったマータイさんは「Reduce(ごみ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という環境活動の3Rをたったひと言で表すだけでなく、地球資源に対するRespect(尊敬の念)が込められている」と感銘を受け、2005年3月、ニューヨークの国連本部で「MOTTAINAIを、環境を守る世界の合言葉にしよう」と呼び掛けた。それを受けて毎日新聞社が事務局を設置し、キャンペーンがスタートした。 以来、賛同する企業・団体とともに環境に配慮した商品やサービスを展開し、売り上げの一部や個人からの寄付金をマータイさんがケニアで始めた植林活動「グリーンベルト運動」に送り続けてきた。その額は累計3億円を超え、約400万本の植樹に使われてきた。 キャンペーンの20周年はマータイさんのノーベル平和賞受賞20周年でもある。その記念式典が今月10日、ケニアのナイロビで開かれた。在ケニア日本大使館の松浦博司大使も出席し、「マータイさんのレガシー(遺産)は私たち一人一人に、より平和で持続可能で、思いやりのある世界をつくる力と責任があることを思い出させてくれる」と強調した。 会場ではMOTTAINAIキャンペーンの取り組みも紹介された。式に参加した大学生のジェームズ・ムワウラさん(21)は「資源への感謝と畏敬(いけい)の念を持つ日本の伝統的な概念を世界に広めるMOTTAINAIキャンペーンはとても意義深く、必要不可欠な取り組みだと感じた」と感想を述べた。【高木諭】【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>