年末の大掃除は思いのほか大変。効率よく済ませたい(写真はイメージ)=ゲッティ写真一覧 いよいよ年の瀬。仕事納めをし、これから家の大掃除をして、すっきりして新年を迎えたい――。そう思う人が増えるこの時期だが、近年は「時間がない」などの理由で、大掃除しない人も少なくない。 時間をかけず「タイパ」(タイムパフォーマンス)良く済ませる方法はないのか。専門家に聞いた。大掃除「実施する」は半数 年末に大掃除をする人は減少傾向にある。 大掃除の意識調査を2005年から実施しているダスキン(大阪府吹田市)によると、24年末の実施率は51・1%で、過去最低だった。Advertisement 05年末の実施率は66・8%。ピークだった08年末(71・7%)以降、緩やかな減少傾向にあるという。 24年末の大掃除について今年1~2月に調べた調査では、大掃除をしなかった理由で最も多かったのは「こまめに掃除をしている」(20・5%)。次いで「時間がなかった」(18・8%)、「掃除が苦手・面倒」(15・2%)だった。 これから大掃除に手をつけるには「時短」や「簡単さ」が鍵になりそうだ。 では、どこからどう手をつけるべきか。優先「3カ所」とは 「短時間の掃除でも家全体がすっきりしたと感じられる場所から手をつけるのがポイントです」 「ムダ家事が消える生活」(サンクチュアリ出版)などの著書がある知的家事プロデューサーの本間朝子さん(51)は、まずは「タイパ」の良い3カ所から始めることを勧める。知的家事プロデューサーの本間朝子さん。「短時間の掃除でも家全体がすっきりしたと感じられる場所から手をつけるのがポイントです」と語る=本人提供写真一覧 本間さんが提案する優先3カ所は「玄関」「フローリング(床)」「トイレ」。来客の目が行きやすく、大掃除した満足感も得られやすいという。 「とりあえずこの3カ所を整えるだけでも、気持ちよく新年を迎えられると思います」 それぞれの場所でも、簡単に、時短で済ますポイントがある。 例えば、玄関のドアを水拭きする時は、汚れが軽度な内側から先に拭くと、ぞうきんを洗わなくてもそのまま外側を拭ける。 フローリングは、普段はから拭きだけなら、大掃除では水拭きしたいもの。フロアワイパーの先にウエットシートをつければ、かがまずに簡単にできる。 トイレは、トイレットペーパーを便器内に敷いて洗剤をしみこませ、数分置くと汚れが落ちやすくなる。 この3カ所をまずやってみて、もし余力があれば、台所や窓、浴室に手を広げてみる――。そんな「2段構え」で考えるよう勧める。換気扇の油汚れはお湯につけ置き レンジフードのフィルターやコンロの五徳、換気扇などの油汚れは、アルカリ性洗剤を溶かした50~60度の湯に20分から1時間ほどつけ置きすると、落ちやすくなる。待ち時間には、コンロ本体や台所の壁を拭いておく。 網戸は、床掃除用のフロアワイパーの持ち手を短くし、ウエットシートをつけて拭くと簡単だ。 窓ガラスは、100円ショップなどで買えるマイクロファイバークロスを使うと、ガラスに繊維が残らず、簡単にきれいに拭けるという。2枚用意して1枚で水拭きし、乾かないうちにもう1枚で筋残りしないようにから拭きする。浴室天井のカビはフロアワイパーで網戸は、フロアワイパーの持ち手を短くし、ウエットシートをつけて拭けば簡単に水拭きできる=本間朝子さん提供写真一覧 浴室で悩ましいのはカビだ。 カビ取り剤は、ぬれた状態だと希釈されて効果が薄くなるため、乾いた状態で吹き付ける。ラップやキッチンペーパーを張り付けて流れ落ちないようにすると、カビが落ちやすくなる。ただ、天井のカビには、フロアワイパーにキッチンペーパーを2枚重ねアルコール除菌スプレーを吹き付けて拭く。浴槽に上って拭くと、転落したりして危険なためだ。 一方、汚れが完全になくなるまで掃除したり、場所を広げていったりすると、大掃除は長くなりがちだ。 「先に作業時間を決めておき、汚れが落ちきらなくても、ほどほどで切り上げることが大事です」「予防掃除」で来年はラクに 大掃除の後、きれいな状態を維持するコツはあるのか。 「汚れをためない『予防掃除』を日々することで、来年の大掃除は楽になります」 例えば、台所で揚げ物や炒め物をする時は、コンロ一口分を板状の油はねガードでコの字に囲って、油の飛び散る範囲を少なくし、拭き取りやすくする。 こうした「予防掃除」は、生活動線になるべく組み込む。 例えば、料理後の台所では洗ったキッチンタオルで、棚や家電を拭いてから洗濯機に入れる。 生ゴミがたまった排水ネットを交換する際も、新しいネットをスポンジに見立てて食器用洗剤をつけてシンクを洗ってから、排水溝にかける。そうすれば、交換のたびにシンクを掃除することになり、自然ときれいになるという。知的家事プロデューサーの本間朝子さん。「短時間の掃除でも家全体がすっきりしたと感じられる場所から手をつけるのがポイントです」と語る=本人提供写真一覧 「汚れは放置するほど、取る難易度が上がっていきます」と語る本間さん。 だからこそ、こう呼びかけている。 「年末までためずに、日々いろんなところをちょこちょこ予防掃除すると、来年は『年末大掃除』でなく『年末NO掃除』にできるかもしれません」【岡田英】