映画の推し事毎日新聞 2025/10/20 22:00(最終更新 10/20 22:00) 3392文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022」=WOWOW配給 2024年8月に再結成を発表し、25年7月からはワールドツアー「Oasis Live ’25」で世界を熱狂の渦に包み込んでいるオアシス。10月25、26日の日本公演を前に見ておきたいのが、「リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022」だ。リアム・ギャラガーが22年6月に行ったライブの模様を収録したドキュメンタリー。日本で初劇場公開となる本作は、2日間で約17万人を集めた熱量をギュッと詰め込んだ、濃厚な80分となっている。 ライブ会場の英国ネブワース・パークは、1996年8月10、11日の2日間で25万人超を動員、当時の野外コンサートの動員記録を更新した、オアシス史上最大規模の野外ライブ「オアシス・ネブワース公演」が開催された伝説の地。26年の時を経て、オアシスのフロントマン、リアム・ギャラガーがその地に立ったというだけで鳥肌ものだ。ソロアーティストとしてのリアムと、オアシスとしてのリアムの違いも楽しめる。Advertisement「リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022」の一場面=配給:WOWOW見るもの圧倒“ロックンロールスター” アーティストとして成熟したリアムの姿が拝める本作。ロックンロールスターのリアムは、そこにいるだけで見るものを圧倒する存在。 もちろん、パフォーマンスにも魅了されているのだが、オアシスのデビュー当時は正直、リアムを追いかける過程で“成熟”という言葉を使う日が来るとは想像していなかった。 このライブ開催時のリアムは50歳。年齢を考えれば成熟も当然と言えば当然なのだが、まさか「俺がいる限りロックは生きている」「俺がロックンロールスターだ」と発言してきた(しかも売れる前から「自分こそがロックンロールスター」と言っていたというのだから、最高にかっこいい! 言い切ってしまうところに生き様が垣間見えるのもたまらない)、ヤンチャでハチャメチャなイメージだったあのリアムが……としみじみしてしまう。 オアシス、ビーディー・アイ(Beady Eye)の解散を経て、ソロアルバム「As You Were」を作り上げるまでを追った20年日本公開のドキュメンタリー映画「リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ」ではパブリックイメージでは目にすることのなかった繊細な一面や、アーティストとしての活動も危ぶまれていたリアムが、アルバムを作り上げ、プロフェッショナルなひとりのアーティストとしてもう一度立ち上がる姿を丁寧に追っていた。 当時のリアムの姿を見ていたからこそ、本作のネブワースでの圧倒的な存在感と成熟度にはよりグッとくるものがあったのかもしれない。「リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022」の一場面=WOWOW配給“らしさ”健在 生意気でも愛がある 成熟し、どこか落ち着きのようなものを感じても、リアムらしさは健在。 冒頭から、「ネブワースは一度きりというけれど、俺は帰ってきた」と言ったり、ミック・ジャガー(ザ・ローリング・ストーンズ)、ボノ(U2)、ロバート・プラント(レッド・ツェッペリン)ら、偉大なロックバンドのフロントマンの名前を挙げ、ネブワースでは「ソロじゃやらないね」と言ってみたり。 かつてほどとがってもいないし口調も柔らかい印象だが、リアムらしさが感じられるコメントだ。リアムは生意気だとかビッグマウスだとか言われ続けてきたが、尊敬する相手への敬意やファンへの感謝の心、ロックへの並々ならぬ愛が感じられる発言は、ファンだからかもしれないが、いつも正直で誠実さがにじんでいるように受け取ることができる。 喉の不調や二日酔いが原因でオアシスのライブがキャンセルになったというニュースを聞いても、なぜかほほ笑ましいし、日本のオアシスファンには伝説となっている福岡公演での2度の途中退場も「そんな語り継がれるライブに足を運べたことを光栄!」とさえ思ってしまうのだ。ノエルは今でも「絶対に許さない」と言っているそうだが……。 ちなみに本作でのリアムは、スッキリと渋さのバランスが絶妙で、ビジュアルもかなりよい。「リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022」の一場面=配給:WOWOW幅広い年代に届くカルチャーになった ドキュメンタリー映画が作られるたびに、オアシス、ギャラガー兄弟の歴史を振り返り、思い出に浸ってしまうのだが、本作では“成熟”のインパクトが強かったため、より懐かしく、そして心穏やかに振り返ることができた。 本人は喉の調子が完璧ではなかったともコメントしていたようだが、パフォーマンスはかなりいい仕上がりだった。オーディエンスは自分のようなリアムとほぼ同い年のリアルタイム世代や、その前後の年代のオーディエンスが中心と予想したが、会場には幅広い年齢層が集まっていた。 オアシスのロゴ入りアイテムを身につけたオーディエンスに混ざり、ビートルズのアイテムを身につけたオーディエンスが多かったことにも目を引かれた。 オーディエンスの年齢層やそのスタイルから、ロックバンド・オアシスはカルチャーになっているのだと確信できたことも本作での収穫のひとつだ。 リアムのパフォーマンス、発言は言わずもがな、カメラが捉えるさまざまなものから、リアム、そしてオアシスが“今(映像は2022年のものだが)”、どのような存在になっているのかを考えたくなる映像でもある。 安全上の理由から、今後はタンバリンやマラカスなどを観客に投げ入れないと宣言したことも記憶に新しいが、このライブではタンバリンはリアムが「ノリがいい!」と感心していた小さな女の子の手に。 親に連れて来られた感のない彼女のノリのよさに、「この世代にまで届くカルチャーなのだ!」とニヤリとしてしまう瞬間だった。 自身、このタンバリンを手にする日を夢見てきたが、今後その夢が実現することはないのは残念だが、イメージトレーニング(なぜか口でキャッチしてリアムにあきれられるコメントをされるというイメトレ)をした日々はいい思い出だ。「リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022」の一場面=WOWOW配給見て、感じて、楽しむべし 本作で体感できるのはアンコール含めて全16曲。うち、10曲はオアシスの楽曲。再結成ワールドツアーの全公演で1曲目に披露されている「Hello」が本作でも1曲目を飾っている。アンコールではネブワース公演後の24年にコラボアルバム「Just Another Rainbow」を発売することとなるジョン・スクワイア(元ザ・ストーン・ローゼズ)が登場し、「Champagne Supernova」を披露。 ジョンは、オアシスのライブにも何度か参加し、ビーディ・アイ時代のリアムとも同じステージに立ったこともあり、ファンの間ではおなじみのご褒美タイム。加えて、ジョンは「ネブワース1996」でも同曲をオアシスとパフォーマンスしていることからも、かなりエモーショナルなアンコールとなっている。 一曲一曲の見どころを紹介していたらキリがないが、ネブワースのように大きな(大きすぎる)会場でのライブ映像は、とにかく見て、感じて、楽しむべし。 コーラス隊も加わり厚みを見せていた「More Power」はソロのライブでは定番化してほしい!と思うほど仕上がっていたし、「Once」での花火の演出も印象的。映画館の大きなスクリーンで、よい音響で、成熟したロックンロールスター、パフォーマンスのたびに最高を更新する男、リアム・ギャラガーのすべてを堪能してほしい。「リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022」=WOWOW配給16年の時重ね 高まる期待 オアシス来日を前に、日本初のポップアップショップが東京・渋谷にオープンし、来日公式サイトでは公式グッズや日本限定発売のアイテムも多数販売中。来日公演までエネルギーを温存しようと思っても、至るところで熱を上昇させる。 再結成ライブのリポートをチェックしていると、リアムとノエルが手をつないで登場したとか、ライブ後に2人が軽くハグを交わしたとか、ノエルにちょっかいをかけるリアムの姿が見られるなど、ギャラガー兄弟の絆や“らしさ”あふれる彼らが戻ってきたと懐かしさに浸れるシーンにも遭遇できるかも!?と期待が高まる。 解散中のそれぞれの音楽活動も見てきたからこそ、16年を経てのオアシスとしてのパフォーマンスは深みも増しているはず。おなじみの楽曲で懐かしさを味わいつつも、きっと新しい魅力を発揮してくれるだろう。オーディエンスの大合唱も、他の公演に負けないくらい盛り上がることは間違いない。本作は、来日公演への期待をより高めてくれるだろう。(タナカシノブ)【時系列で見る】【前の記事】ヒットのカギは邪道の王道にアリ? 「チェンソーマン レゼ篇」を分析関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>