毎日新聞 2025/10/6 06:00(最終更新 10/6 06:00) 1689文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷ナセル病院の外階段を直撃した2度目の攻撃=パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで2025年8月25日、AP パレスチナ自治区ガザ地区の病院で8月、イスラエル軍の「ダブルタップ」攻撃により記者5人を含む22人が殺害され、世界的な非難を浴びた。あの朝、病院で何があったのか。目撃証言などを基に経過をたどると、攻撃に対するいくつもの疑問が浮かび上がった。時間差で2度の攻撃 「つらい出来事だった。思い出すのも苦しい」 8月25日朝、南部ハンユニスにあるナセル病院。地元ジャーナリストのタハ・ザリファさんは、病院前のテントでコーヒーを作りながら、同僚の記者と電話でこの日の取材について話し合っていた。Advertisement 午前10時8分。突然、爆発音が辺りをつんざき、病院の屋上付近から煙が立ち上った。ロイター通信で働くフッサムさん(49)がいつも撮影していた場所だった。ザリファさんは、テントにいた記者たちとともに現場を撮影しながら、病院内へ駆け込んだ。救急隊や病院スタッフも階上に集まってきた。ナセル病院で撮影するロイター通信の記者、フッサムさん=パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで、ロイター(撮影日不詳) その9分後、再び病院が揺れ、さらに2発のミサイルが撃ち込まれた。爆発は中継されていた 2度目の攻撃はエジプトのテレビ局が生中継していた。直撃したのは、崩れかけた病院の外階段の踊り場。映像には、空爆の死傷者を救助しようと集まる大勢の人が映り、背後にはスマートフォンで撮影する記者もいた。 爆発は何の前触れもなく起き、画面に灰色の煙が広がった。中継していた記者が叫ぶ。2度目の爆撃の直前、現場に集まった記者や救助関係者ら=パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスのナセル病院で2025年8月25日、ロイター 「いま、たったいまです。人々が殺されました。民間人を狙っています。大きな攻撃です!」血にまみれたカメラ 同じころ、フッサムさんの兄、エッゼルディンさんも病院に駆けつけた。最初の爆発は約200メートル離れた自宅にいるときに発生。弟の仕事場が狙われたと分かり、病院の門まで走ったところで、2度目の攻撃が起きた。 目の前で救助活動中の人々が直撃を受け、周囲は煙に包まれた。慌てて中に入り、救急診療部や集中治療室を見て回ったが、弟の姿はなかった。崩れたがれきをまたぎ、階段を上がっても見つからなかった。 「みんな、もう一度攻撃があるかもしれないと考えている。だが、ガザの人たちはいつも死傷者の救助に向かう」。このときも、救助隊の一人が一緒に弟を捜してくれた。間もなく病室で遺体を発見した。最初の攻撃で死亡しており、誰かが運んできてくれたらしい。頭はつぶれ、下半身は粉々だった。ナセル病院への攻撃で死亡した記者が持っていたカメラ=パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで2025年8月25日(遺族提供・AP) 「ジャーナリストは世界に真実を伝える。だから狙われたのだ」。弟のカメラは壊れ、血が付いていた。覆るイスラエル軍の主張 イスラエル軍は翌日、「(イスラム組織)ハマスが監視カメラを設置していた」と発表し、攻撃を正当化。6人の「テロリスト」を殺害したとも主張し、名前と顔写真を公開した。だが、事実は異なっていた。 ロイター通信は9月下旬、イスラエル軍関係者を含む数十人への取材と100件以上の動画分析を基に、検証記事を発表した。 それによると、死亡したフッサムさんは病院の屋上付近の外階段で、配信用の中継動画を撮影するのが日課だった。熱とほこりから守るため、カメラにはいつも布を巻いていた。殺害される約2週間前に撮影されたフッサムさん(左)の写真。カメラには礼拝用のマットがかけられている=パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで2025年8月13日、ロイター 攻撃の数日前、軍は無人機(ドローン)でその様子を確認した結果、ハマスがカメラを隠して撮影していると誤認した。「脅威」と判断され、攻撃されることになった。当日も、ナセル病院付近を偵察用ドローンが飛行し、標的や「戦果」をリアルタイムで確認していた可能性がある。追加攻撃はなぜ この病院は報道陣の拠点で、多くの記者が日常的に集まっていた。電源があり、インターネットも通じるからだ。イスラエル軍もそれを知っていたはずだった。 内規では病院を攻撃する場合、事前にガザでの軍事作戦を担当する司令官の許可が必要とされる。だが、ナセル病院への攻撃は承認を得ていなかった。 軍が「殺害したテロリスト」と発表した6人のうち、少なくとも5人は病院関係者などハマスとは無関係だった。中には、別の場所で殺害された人も含まれていたという。 国際的な非難を受け、ネタニヤフ首相は「不幸な出来事で遺憾だ」と述べ、調査を約束した。だが、軍はなぜダブルタップを実施したのか、説明していない。【カイロ金子淳】【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>