衆院選が公示され、政党代表の街頭演説に集まった多くの有権者たち=東京都千代田区で2026年1月27日 2月に行われた衆院選は、自民党が単独政党として戦後初めて議席の3分の2を獲得する歴史的勝利を収めた。学生たちは衆院選に対してどのように臨んだのか。選挙を取り巻く情報環境など、政治や選挙に関する幅広いテーマで、毎日新聞キャンパる編集部の学生記者8人に話し合ってもらった。【司会・まとめ、東京都立大・小野将京(同編集部)】選択の時間が限られる中で ――急な解散や、政党の離合集散などで難しい選択を迫られました。選挙にはどう臨みましたか? F 高市早苗首相は解散にあたって「自分を信任できるか」と問いかけた。だから、高市さんが信頼できるかどうか考えて、投票先を選んだ。Advertisement A 一般の人の声が政治を変えると思う。私の場合、自らへの信任を求める高市さんに抵抗しようと思った。投票先は、候補者が信頼できるかどうかや政党の公約を見比べて、消去法で選んだ。中道改革連合を結成した立憲民主党と公明党については、以前より信頼感は損なわれたなと思った。 D 比例代表は、名簿上位の人の経歴にあまり好感を持てず、小選挙区で入れたところとは別の政党に入れた。 B 日本全体が「高市推し」の雰囲気なのが嫌だったけど、自民党以外の政党の政策にも実現性を感じられなかった。結局、雪が降って家から出る気が起きなかったのもあって、投票に行かなかった。ネット投票ができたら投票したかもしれないけど。 G 解散から投票までの時間が限られていて投票先を選びにくかったし、報道機関の情勢調査で結果は明白だったので、投票をする意義が見いだせなかった。期日前投票に約1時間の長蛇の列ができる自治体もあった ――不在者投票が間に合わないなどの不都合はありませんでしたか? E 住民票が地元にあるので投票用紙を取り寄せないといけないのだが、旅行の日程と投票期間が被ってしまって……。旅行が別日にずれたので投票できたが、それがなければ投票できなかった。 C 僕は沖縄にいたので沖縄から不在者投票をした。マイナンバーカードさえあればオンラインで投票用紙を取り寄せられるのでとても簡単だった。情報収集に役立ったSNS ――選挙に向けてどう情報収集をしましたか? H 急な解散で情報収集をする時間が全然なかった。もっと自信をもって投票したかった。 F 遊説に行き、配られているビラは必ず受け取るようにした。高市さんの第一声は、開始の90分前に会場に着いた。新聞は読んだし、X(ツイッター)も見た。 E 大学のテスト期間と被ったこともあり、なかなか情報収集をする時間がなかったので、ボートマッチを使って入れる政党を決めた。自分の知識が曖昧な分野については、その問題に取り組んでいる団体のインスタグラムの投稿を見て判断の材料にした。 B 新聞と、TikTok(ティックトック)を見ていた。新聞は文字情報が多くて、難しい言葉については解説もあるけど頭を整理する時間が必要で大変だった。ティックトックは配信する側ができるだけ分かりやすくしようとしているのでいいなと思った。 D 候補者のホームページを見て人となりを知り、Xを見てどのような発信をしているかを確認した。家にはテレビがないから、代わりにYouTube(ユーチューブ)の動画を見ていた。選挙期間中、ネットでは、衆院選に関する虚偽の画像や動画が拡散した ――急激な勢いで再生数が伸びた自民党の広告や切り抜き動画の拡散など、SNS上の政治活動が選挙結果に影響を与えたとも指摘されています。 D とにかく、特定の候補者や政党のイメージを下げようとする動画が多い印象だった。 H 政党や議員の宣伝動画をかなり見た。演説をしていない、政治家としてではない姿を見られて面白かった。選挙は人気投票ではないと言うけれど、嫌われ者が政治をすることはできないと思う。 C SNS上の政治活動も、結局は従来型の政治活動の延長線上にあると思う。これまでも特定候補の落選を目指す運動とかはあったわけだし。ただ、そのような活動が収益化目的のものだと、選挙運動の範囲から外れるのではないか。衆院選で1億5000万回以上再生された自民党の広告動画。高市早苗首相を前面に出した=YouTubeより情報源は多い方がいい E 高市さんが憲法について語った時の切り抜き動画がインスタグラムに流れてきて、コメント欄は絶賛の声であふれていた。一方、同じ発言を取り上げた新聞は批判的な視点から分析していた。同じことでも、メディアによって取り上げ方は異なるからいろいろな情報源があるのはいいことなのかなと思う。 ――新聞やテレビのような従来型のメディアも、選挙報道においてはかつての量的公平から質的公平への転換を掲げています。選挙報道に感じたことは? G 質的公平への転換については、機械的な候補者一律の扱いではなく、より多くの有権者が関心を持つ人たちの発言や動向にフォーカスするようになったと実感したし、効果もあると思う。 A 今回初めて、選挙に向けて新聞を詳しく読んだ。地元の新聞は、一人一人の候補者に「百の質問」という形の記事をつくっていて、とてもよかった。これって、地方紙の強みだな。 E 高市さんの発言に対するファクトチェックがとても多かった印象だ。あまりに多いからそのうち見出しだけ見るようになった。もっと各党や候補者の政策を深掘りした記事を読みたかったな。集まった有権者らと握手を交わす候補者身近な対話が投票に行くきっかけに ――周囲と政治について話すことはありますか? C 友人とも家族とも話す。身近な人から聞く意見と、新聞やSNSなどの媒体で言われている意見とではやはり違いがあるから、話すことは必要だと思う。 B 初めての選挙は友達と話してから行くことを決めたし、今回の座談会のような機会があると選挙に行けばよかったなと思うので、政治について話すことは選挙に行くきっかけになると思う。 A 家族とも友人とも政治について普段話すことはない。ただ、飲み会では話し出す人が一定割合はいる気がする。普段は抑制しているのかな。 D 家族とはよく話すし、学部の友達と選挙結果を一緒に見ることもある。政治について話すことで知識が深まるだけでなく、政治について語り合うことを通して仲良くなる、そんな意義もあるんじゃないかなと思う。 H 家族と政治についての考え方が違うし、友達が過激な考え方を持っていたらと想像すると怖いので、話さない。雪が降る中、投票所に足を運ぶ有権者混迷の時代、安住できる国づくりを ――選挙の結果をどのように感じましたか E あまりの自民の圧勝に、自分が政治的に少数派なんだなと思った。自分の考え方は偏っているのかもしれないと、自信を持てなくなった。 G 政治的な不安定さがなくなり、先行きが見通しやすくなるので経済活動にはプラスかなと思う。 F 長期政権になるのかなあと。自分の投票行動としては、投票してよかったと思った。 C 僕はあまり意見とかなくて、歴史的な瞬間に立ち会えてラッキーだなと思っている。無責任かもしれないけど。 A 高市さんが総理になっただけで、こんなに結果が変わっちゃうんだと思った。 ――これからの政治に何を求めますか H 国民の声を拾い上げ、国を良くする意志を持った人が活躍してほしい。混迷の時代を乗り越えられる力を持った国会であってほしい。 F 年収の壁や消費税などの政策課題に逃げずに向き合ってほしい。 G 経済政策などで日本がこれからも安住できる国であるようにしてほしい。 E これから生まれてくる人に「良い国をつくっておいたよ」と言えるような政治をしてほしいな。 A 政治家だけが政治を動かしているわけではないから、権力の中枢にいる人が一般の人の声を聞く姿勢を持つことを求めたい。 ――ありがとうございました。<参加者のプロフィル>A=国際関係学系・21歳 投票した B=法学系・20歳 投票しなかったC=教育学系・20歳 投票したD=政治学系・19歳 投票したE=総合政策学系・23歳 投票したF=法学系・20歳 投票したG=文学系・21歳 投票しなかったH=総合政策学系・19歳 投票した