有料記事編集委員・吉田伸八 板倉大地2025年8月7日 12時55分記者会見場に入る迫田裕治警視総監=2025年8月7日午前10時31分、東京都千代田区、友永翔大撮影 大川原化工機の冤罪(えんざい)事件についての警視庁による捜査の検証は、捜査の違法性を厳しく指摘した民事裁判の判決確定が決まった6月11日にチームを設置し、始まった。 大川原化工機側からは、検証には、外部の第三者を入れることが必要だとの指摘を受けていた。ただ警視庁は、職員の不祥事を扱う監察部門が中心となり実施。民間の有識者らが委員を務め、警視庁を管理する東京都公安委員会に臨時会を含め9回にわたり報告しながら進めた。「公安委員会から様々な観点の指摘をいただき、独善的にならないように努めた」と警視庁幹部は説明する。 警察庁も国家公安委員会に臨時会を含め8回にわたり報告し、意見を検証に反映させてきたという。警察幹部は「できるだけ早く、しかし、スケジュールありきで拙速なものではいけない」と話していた。指摘された「暴走」と機能不全 警視庁の検証は、民事裁判で認定された事実関係を前提に、当時の幹部らの聴取や書類の確認を通じ、改めて事実関係の精査に当たったという。 検証では、捜査を現場で取り仕切った外事1課の係長(警部)と管理官(警視)が「暴走」し、課長(警視)以上の公安部幹部が止められなかった構図を提示。2人が「この分野のエキスパート」で、公安部幹部の指揮系統が機能不全になっていたと指摘した。 ただ、係長らがなぜそこまで突き進んだのかについて検証では明示されていない。裁判では、捜査員らが「立件に至ったのは個人的な欲、動機から。(立件しなければならなかった理由は)組織としては、ない」などと証言した。しかし、係長は検証での聴取に「事件検挙による表彰や自身の昇任などのためでなく、事件で成果を上げることで社会に貢献するという思いから捜査に臨んでいた」と主張。「もっと捜査員の声に耳を傾ければよかったと思う」と話しているという。■裁判での認定に検証は・・・…この記事を書いた人吉田伸八編集委員|警察庁担当専門・関心分野警察行政、事件、犯罪板倉大地東京社会部|警察庁担当専門・関心分野事件、事故、警察行政大川原化工機冤罪事件化学機器メーカー 「大川原化工機」をめぐる冤罪事件で、違法捜査と認定された東京高裁判決について、警視庁と東京地検は上告を断念しました。関連ニュースをまとめています。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ8月7日 (木)広島への原爆投下から80年日本の80兆円「我々のお金」日本人減少数、1年で90万人超8月6日 (水)コメ増産へ転換 首相が表明群馬・伊勢崎41.8度 最高更新甲子園開幕 夕方の開会式は初8月5日 (火)最低賃金、過去最高の6%増作業員死亡、20分間に4人がセ・リーグがDH制導入へ8月4日 (月)萩生田氏秘書を略式起訴へながら運転 増える重大事故JR東、平均7.1%値上げへトップニューストップページへ大川原化工機冤罪事件で警視総監が謝罪 「大きな過ち」検証結果発表11:10石川県で線状降水帯 兵庫、新潟、秋田などには土砂災害警戒情報10:53原爆投下のB29乗員を祝福した神父の悔恨 靴に書いた「ナガサキ」6:00重圧、体重23キロ減、パニック障害 松坂世代の私が前を向くまで7:00イヌは気前の良い人か見分けるのが難しい 京都大研究員らが実験7:30舞台「となりのトトロ」、英国でなぜヒット? メイとサツキの答えは12:00