2026年2月25日 14時44分米田優人最高裁判所=東京都千代田区 40年以上前に起きた滋賀県の「日野町事件」で、最高裁が、強盗殺人罪で有罪が確定した元被告(故人)の再審開始を認めた。無期懲役の結論を覆して無罪にすべきだとする異例の判断だが、結論を示した決定文は、わずか2ページで、理由はほとんど書かれていない。なぜなのか。 「再審請求を認容すべきものとした大津地裁決定の結論を正当とした大阪高裁の判断に誤りがあるとは認められない」。再審開始を認めた最高裁第二小法廷の決定文で、理由は7行ほどの記述だった。 「有罪判決の維持を求める検察側の主張は認められない」という趣旨だが、決定文を読んでも、そう判断した理由はよくわからない。 刑事裁判では、起訴された人の罪が成立するかを、検察側と弁護側の証拠をもとに裁判所が判断する。高裁の結論に不服があれば、最高裁に「上告」や「特別抗告」ができる。最高裁は「法律審」 だが、最高裁は「法律審」と呼ばれ、原則として事実関係の問題に立ち入らない。高裁の結論を覆すのは、憲法違反や判例違反、重大な事実誤認がある場合などに限られる。 司法統計によると、最高裁に上告されて2024年に刑事裁判が終わった1608人のうち、最高裁が結論を変えたのは1件もなかった。 あるベテラン裁判官は「一、二審で事実関係が丁寧に審理される。最高裁がその判断を変えるには、よほどの理由が必要だ」と話す。 最高裁が扱うほとんどの事件は公開の法廷で言い渡す「判決」ではなく、書面の「決定」を当事者に届けることで終わる。 この決定文には、詳しい理由を記さず「高裁の判断は妥当だ」という趣旨を書くだけの運用が定着している。袴田さんの例では30ページ超 一方で、下級審の判断を変えたり、法的に重要なポイントを含む事件だったりする場合は判断理由を詳しく書くため、決定文も長くなる。裁判官が自身の考えを述べる「個別意見」がつくこともあり、どんな議論が交わされたのかがうかがえる場合もある。 静岡県の一家殺人事件(1966年)で2024年に無罪が確定した袴田巌(いわお)さんの再審請求では、最高裁は20年、再審を認めないとした東京高裁の決定を取り消し、高裁に審理を差し戻した。このときは判断の理由のほか「差し戻さず、すぐに再審を始めるべきだ」とする2人の裁判官の反対意見などもあったことから、決定文は30ページを超えた。 日野町事件の再審を担当したのは、第二小法廷の3人の裁判官。5人が所属するが、そのうち今崎幸彦・最高裁長官は司法行政の仕事が多いため、裁判の判断にはほとんど関わらない。また、三浦守裁判官も審理に参加しなかった。検察官時代に日野町事件に関わっていたためとみられる。【スタンダードコース|デジタルのみ】有料記事が読み放題!今なら4カ月間月額200円!詳しくはこちら【ダブルコース半年割|宅配購読者限定】今だけ超特価!はじめの4カ月間は月額100円!詳しくはこちらこの記事を書いた人米田優人東京社会部|最高裁専門・関心分野司法、刑事政策、消費者問題関連トピック・ジャンルこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ2月25日 (水)トランプ政権 代替関税を発動中国、軍民両用品の輸出禁止侵攻4年 いまだ見えぬ終戦2月24日 (火)スカイツリーで緊急停止「まるで本物」実はニセ広告「早上がり」賃金でトラブル2月23日 (月)ミラノ・コルティナ五輪閉幕へトランプ氏、新関税は「15%」天皇陛下66歳に 被災地へ思い2月22日 (日)トランプ関税に違法判決衆院選で買収容疑 候補者逮捕私立小教員の自殺 労災認定トップニューストップページへ花嫁の父「お前たちのために自白した」泣いて明かした夜 日野町事件12:29イラン当局、NHKテヘラン支局長を拘束か 1カ月前に 海外報道12:27高市首相「1人分3万円で計315人分」 カタログギフト配布を説明10:54「誰も見たことない変革」を誇示 トランプ米大統領が一般教書演説14:11AIは人の意識を代弁できるか 仮想の「1千人」で実験してみると…8:00氷山と海氷、塩辛くないのはどっち 南極の海に浮かぶ氷のできかた14:00