映画の推し事毎日新聞 2026/2/26 22:00(最終更新 2/26 22:00) 2880文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「レンタル・ファミリー」Ⓒ2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved. 日本が舞台のハリウッド映画「レンタル・ファミリー」は、アカデミー賞俳優のブレンダン・フレイザーが、日本人キャストの平岳大、山本真理、柄本明らと心温まる物語を紡ぐ作品だ。 オール日本撮影で日本語のシーンが随所に盛り込まれ、日本独自の文化や社会をユーモラスに映し出した、日本色の強い一本でもある。Advertisement そんな本作を、日本国外の観客はどのように受け取ったのか。筆者はオーストラリアの映画館で鑑賞。そこで目にしたのは、言語や文化の違いを超えて、観客の感情を揺さぶる瞬間だった。異邦人を通して描く 日本の特異性 ブレンダン演じる主人公フィリップは、アメリカ出身で日本に滞在して7年の売れない俳優だ。日本の生活にすっかりなじんでいるが、電車でオーディションに向かうその表情は、ややくたびれ気味。 そんなある日、「レンタル・ファミリー」という会社で、依頼者のために大切な人や家族を“演じる”仕事をすることになる。 結婚式の新郎、お受験のための父親、架空のインタビューをする記者など、さまざまな事情を抱える依頼者に戸惑いながら、フィリップなりに寄り添い、やりがいを感じていく。 日本発祥とされる“人をレンタルする”というサービスをテーマに、現代人の孤独、家族の在り方や人とのつながり、仕事のやりがいといった要素を織り込んだ本作。大阪出身のHIKARI監督が、愛を込めて完璧ではない登場人物たちを描き、重く湿っぽくなりがちな題材をウイットに富んだ脚本で軽やかに仕上げた。 筆者が本作を鑑賞したオーストラリア・メルボルンは、アートの街と称されることもあり、そこに住む人の芸術への関心度が高く、日本の文化に興味がある人も多い。 毎年開催される「メルボルン国際映画祭」では、2025年に「8番出口」「Cloud クラウド」「ルノワール」といった日本映画が上映された。中でも「8番出口」はチケット入手が困難になり、当初の発表より上映回数が増すほどの人気ぶり。また、これとは別の「メルボルン日本映画祭」で鑑賞した「国宝」もほぼ満席だった。 日本の文化や作品の人気は確かに高いが、オーストラリアの大手シネコンのラインアップといえば、ハリウッド大作やアクションもの、イギリス映画、インド映画(インド系移民が多いため)が占めている状態で、ヒューマンドラマになると、ミニシアターが主な上映館となる場合が大多数。 そんな中、ハリウッド映画とはいえ日本が舞台の人間ドラマ「レンタル・ファミリー」が、シネコンを含む最大92館で上映されたのは、なかなかめずらしいことである。「レンタル・ファミリー」Ⓒ2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.「針千本」でも沸く観客 筆者が鑑賞したのはミニシアター「シネマ・ノバ」。オーストラリアの公開日である25年12月26日より一足先、11月におこなわれたHIKARI監督によるZoomあいさつ付きの上映で、ほぼ満席状態。 映画が始まると、レンタルサービスや日本独自の文化に戸惑うフィリップ視点で物語が進むため、序盤は観客も主人公同様に驚く反応が多かったが、次第に人との絆を深めていくフィリップに良い意味合いのリアクションをするようになっていった。 特に、冒頭の生前葬のシーンでは、生前葬を知らない観客もいたようで、本人が生きていることに戸惑いと笑いが入り交じる。 また、「レンタル・ファミリー」の一員となったフィリップの初の依頼人、佳恵(森田望智)の結婚式のシーンでは、式場から消えたフィリップを捜す「レンタル・ファミリー」の面々が、表ではゲストには礼儀正しく笑顔で対応しながら、裏では必死の形相を見せるシーンでも笑いが止まらず。しかし、佳恵の悲しい秘密が明かされた時には大きく「Ah……」と声が漏れる。 フィリップが父親を演じることになる小学生の美亜(ゴーマン・シャノン・眞陽)と2人きりのシーンでも笑いが何度も起こり、授業参観のシーンでは胸に手を当て、心温まるというジェスチャーをする人も。美亜が「指切りげんまんウソついたら針千本のます」と約束させたシーンでは、フィリップのなんとも言えない表情に会場が沸いた。「針千本のます」に近い意味の英語はあるものの、ほぼ直訳の英語字幕でインパクトが強かったようだ。柄本明の一挙手一投足に注目 そんな中で、とりわけ観客がその一挙手一投足に注目した日本人俳優は、老俳優・喜久雄役の柄本明だった。日本語と英語を織り交ぜて話す喜久雄の予測不能の言動が笑いを誘いながら、認知症の症状が進む姿は涙を誘う。 過去の後悔を引きずりながら残りの人生を歩む喜久雄の物語では、どこからかすすり泣く声が聞こえ、文化や言語を超えて柄本の演技が観客の心をつかむ瞬間を目撃。ブレンダンが「日本のイアン・マッケラン」とたたえた彼の存在が、この映画を一つ上の段階に押し上げたといっても過言ではない。 上映が終わると拍手の中、監督によるZoomでのあいさつが始まり、英語と日本語の入り交じる脚本の苦労や日本での撮影を笑顔で振り返りながら、キャストにも言及。 柄本との撮影はどれも素晴らしく、柄本とブレンダンによる天草のシーンが印象深いと語り、初演技となったゴーマン・シャノン・眞陽に賛辞を贈る。そんな監督の言葉を逃すまいと、観客が熱心に耳を傾けている姿が心に残った。また、日ごろの映画鑑賞時はリアクションが控えめなメルボルンの観客たちが、このように反応していることがとても印象深かった。巨体縮めて日本にフィット なんといっても本作の最大の魅力は、アカデミー賞俳優のブレンダンが演じたことだろう。思いがけず参列した生前葬で全てに困惑しつつ仕事を遂行しようとする姿、撮影のために木のコスチュームを身にまとい、スタジオ脇で複雑な表情を浮かべる様子など、彼の一つ一つの行動に笑いが起こる。 身長約190センチのブレンダン演じるフィリップは、小田急線沿いにあるどこかのマンションの一室で静かに生活を送り、依頼人のために右往左往。無意識のうちに身を縮めて、窮屈そうにしながらも日本にフィットさせようとしている姿がどこかいとおしい笑いを生んだ。 本作は、コメディーとしてのおもしろさと並行して、不器用だが心根のやさしいフィリップが、レンタルという関係の中でもたらした感情が本物になっていく様が心に響く。 本音と建前が入り交じる日本独特の文化を描きながらも、彼が直面した孤独や、人との複雑な距離感で生じる感情は普遍的なもの。だからこそ、日本の生活が異質で奇妙なものというだけの扱いにならず、フィリップを起点に観客を物語へと引き込み、文化の違いを超えてオーストラリアでも好意的に受け取られていたと感じた。 全米ではすでに25年11月に公開され、異国を舞台にしたヒューマンドラマとしては初登場5位と大健闘。残念ながら賞レースに絡めなかったが、HIKARI監督は第76回ベルリン国際映画祭の審査員に選ばれるなど、世界的に注目を浴びていることは間違いない。日本ではどのような反応をもって受け入れられるのか気になるところだ。(梅山富美子)【時系列で見る】【前の記事】沢尻エリカ成熟“復活”に喝采 「#拡散」が描くコロナ禍×SNS禍関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>