「ギョーザ購入額日本一」根拠はどこから? 協力義務の家計調査とは

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家計調査用の家計簿(見本)。実物は冊子で、主なページを抜き出し撮影=浜松市中央区で2026年2月26日午後、照山哲史撮影写真一覧 浜松市の1世帯当たりのギョーザ購入額は、3年連続日本一と2月に発表された。このデータの基になったのが総務省の家計調査だ。家庭で買い物などの記録を「家計簿」に付ける作業が必須の調査だ。一般の家計簿は日記や手帳との併用や、レシートを読み込むアプリを使ったペーパーレスが主流だが、家計調査はどのように行われているのか。野菜の重さ記録する欄も 総務省のホームページによると、家計調査は、国民生活における家計収支の実態を把握して、景気動向の重要要素である個人消費の動向など、国の経済政策・社会政策立案のための基礎資料とする目的で統計局が実施する。ギョーザやハンバーグなどの購入額ランキングは、自治体がPRのために家計調査の一部を活用している。Advertisement 家計調査専用の家計簿は52ページあり、口座引き落とし額や入金、現金収入・支出、電子マネーの購入などを記入する。野菜など生鮮食品の重さを記録する欄もある。同じ食品でも重さ当たりの価格で質が変わるため、調査の必要があるという。 一般の家計簿に慣れていても「面倒だ」と思って断る人も多いのではないか。総務省統計局の担当者にそんな疑問をぶつけると、「家計調査は、統計法で定めた『基幹統計調査』です。調査に協力する義務があり、理由なく拒否すれば罰則もある」ときっぱりと返された。 基幹統計とは、公的統計の中でも国が行う重要な統計のことで、その作成のために実施されるのが基幹統計調査だ。よく知られた国勢調査もその一つで、統計法は、調査の拒否や虚偽回答を禁止し、違反すれば50万円以下の罰金と定める。全国約9000世帯が対象家計調査の際に家計簿とともに配布される家計簿「記入のしかた」(見本)の一部=静岡県提供写真一覧 家計調査は、一定の統計上の方法に基づき無作為抽出された全国約9000世帯が対象だ。国の調査とはいえ、マンパワーの問題などもあり実際には国の委託を受けた地方自治体が実施している。静岡県の対象は、政令市の静岡、浜松両市のほか、総務省が人口や世帯数、地域バランスなどから指定した1市。22年2月から10年間は菊川市が対象になっている。 浜松市内では、毎年16の調査区域が総務省によって指定され、該当区域内で県が無作為に選んだ各7世帯(2人以上が6世帯、単身が1世帯)が対象。県から派遣された調査員が家計簿、電卓、はかりなどを持参し、調査への協力を依頼している。 家計簿の記載は、手書き以外に、買い物時のレシートを撮影して読み取るオンライン回答も可能で、6割近くは利用しているという。断られるケースも1区域で2、3世帯あるが、これまでに罰金を適用した例はない。 調査への協力には報酬が支払われる。1世帯当たり毎月2100円(単身者は1950円)で、調査期間である6カ月(同3カ月)を終えると、最終月に8400円(同3150円)が上乗せされる。 県統計活用課は「家計調査は、物価高対策など国がその時々にマッチした政策を立案するための資料になる。依頼を受けた方々の協力があってこそ成り立つ。ただ、調査を装った不審者の訪問にも十分注意してほしい」と呼びかけている。家計簿「付けていない」が半数超見開きのカレンダーで「食費」と「その他」を分けて記載するものなど、市販家計簿には用途に合わせてさまざまなタイプがある=浜松市中央区のハンズ浜松店で2026年2月25日午後、照山哲史撮影写真一覧 家計簿はどのくらいの人が付けているのだろうか。調査会社・アスマークが2018年に全国の20~60代を対象に行ったインターネット調査によると、家計簿を「付けていない」が53・2%で半数を上回った。「手書きで付けている」は全体の25・3%で、「パソコン」(16・1%)、「アプリ」(10・8%)と続いた。近年の物価高やアプリの普及などを背景に、家計簿を利用する人が増えている可能性もある。 市販の家計簿は、家庭の収支だけでなく、日記や手帳などとの併用タイプや利用者の用途によって使いやすいよう工夫されたものも多い。家計簿や手帳などを手がける出版社「高橋書店」は「手書きの家計簿は減る傾向にあるが、『書く時間が自分を整える時間』と考えて利用される方が多い」と話している。家計調査用の家計簿については、「調査目的の精密な仕様で、日常生活で無理なく続けていくという普通の家計簿とは異質なものだ」としている。【照山哲史】